まつだい「農舞台」フィールドミュージアム内で、春~秋にかけて「バン!バン!」という音が響く事をご存知でしょうか?

お客様にこの音は何の音かと尋ねられることが多かった、その正体についてご紹介いたします。

この響き渡る音の正体は、銃の音です。

射撃場でクレイ射撃をしている音なのです。

え?まつだいにそんな趣味を持った人が大勢いるの?

という疑問がわいてくるかと思いますが、

撃っているのは十日町の「猟友会」の皆さんです。

十日町には農作物を食べ荒らす害獣を駆除するため猟友会があり、狩猟期間中に安全に銃を取り扱い、取り扱い方法も忘れないために射撃練習をしています。

練習は飛んでくる皿を撃つというシンプルな物。

お皿は2枚飛んでくるのですが、1枚だけで射止められれば銃声は1回だけ「バン!」と聞こえます。1枚目をミスしてしまった場合は2回射撃するので「バン!バン!」と2回聞こえます(なので2回音が鳴った場合は射撃が失敗しているかもしれない、ということです)。

山では危険な場面も想定されるので、身を守るために練習は欠かせません。

いまでは害獣駆除の役割をもった猟友会ですが、以前は趣味でウサギを捕ったり、とらえたウサギを鍋にして食べたりという楽しい集まりでした。

農舞台で働く石口さんも若いころ「追いっこ」という役割でウサギ追いに参加したことから狩猟に興味を持ち、猟友会に入会したそうです(かつてのウサギ猟/ウサギ追いは「追いっこ」が山の下から声を出しながらウサギを山の上の方に追い込んで、山の上の方で待ち構える猟師が撃つという方法でした)。

猟をするには銃を所持する資格(警察)と獲物を撃つ資格(保健所)の2つが必要で、入会してすぐに銃は撃てなかったそうです。筆記テスト、身元確認、獲物をすぐに見分けるテストなどいろいろな難関を潜り抜けて資格が得られます。

さて、現在の猟友会の様子ですが、上越や柏崎など市街地が発展するに伴い、田んぼや畑が多くあるまつだいなどに動物たちは逃げてきているようです。

毎年イノシシやタヌキなどの動物が増えてきて、田んぼや畑が多く荒らされ農家のみなさんが悩まされている状況でした。

そこで、約7年前に猟友会は県から有害駆除の任務を受けることになり、この地域の田んぼや畑を守るために活動し始めました。かつて主にウサギ・タヌキだった獲物はイノシシ、シカ、クマなどが加わり多様になってきています。猟友会は現在、松代支部と松之山支部合わせて33人のメンバーが所属していますが、その中でも銃を扱えるのは13人で、それ以外の人が罠を仕掛けるなどの役割で活躍しています。

猟の現場では10人ほどのチームを組んで行動し、追い込み役と仕留め役のチームプレーで捕獲します。冬には主にウサギを狩り、春にはカワウという養殖魚を食べてしまう鳥を撃つなど四季に合わせて様々な動物を狩ります。熊やニホンジカなどの山奥に住んでいる獣は、年に1回仕留められれば良い方。また、動きの速いイノシシの猟も難しく、取り逃がしてしまうことも多くあります。

仕留めた獲物を個人で売る事は禁止されているので、獲物はみんなで食べます。

以上が、鳴り響く銃の音の正体でした!

まつだい農舞台フィールドミュージアムに来た際には、耳を澄ましてみてください。

(2023/2/10 棚田バンク事務局)