越後妻有の“雪見御膳”プロジェクトは、2014年の冬にはじまり、この冬開催できれば7回目の予定でした。(昨年の冬も開催できませんでした)この間、開催を目指し、11月ごろから準備をスタート、集落のお母さんたちをたずね、ヒアリングを行うなど進めていましたが、残念ながら叶いませんでした。
“雪見御膳”は、冬のツアーに参加したお客さまに、豪雪地ならではの郷土料理を漆塗りの器に盛り付け、集落のお母さんたちがもつ柔らかい雰囲気の中、食プログラムと雪国体験にておもてなしをします。食事の準備は約1週間をかけて、当日は食べきれないほどの料理が用意されています。美味しい日本酒とお母さん達とのおしゃべりで食事がすすみ、帰るころには動けなくなるほどお腹もこころもいっぱいになります。
今の時代では、いつでも車でスーパーに行けるので保存食品はいらないし、結婚式もお葬式も自宅でしないから漆器も必要ありません。
雪見御膳に関わっているお母さんの一人の言葉。「昔の郷土料理を作れる人はもう70歳以上の人しかいない、蔵でずっと場所を取っていた漆器は、中越大震災をきっかけに壊れたものと一緒に捨てられた。手間がかかる料理や漆器はいつの間にか、この地域からなくなりつつある。でも、郷土料理は時代ごとに変化していくもの。新しい、今の郷土料理があっていい。」
この言葉を心にとどめ、また来冬、“雪見御膳”でお母さんたちとお客様の笑顔であたたかな交流が生まれることを期待しています。