ART
大地の芸術祭の里のアートは、世界各国のアーティストが越後妻有の大地と出会い、そこで起きている様々なことを知ることから生み出された作品です。 棚田での稲作の厳しさと、農家の働く姿に心を打たれ制作されたイリヤ&エミリア・カバコフの「棚田」をはじめ、アーティストが見つけた何かを作品を手掛かりに里山に出発しましょう。
*作品の鑑賞にはチケットが必要なものがあります。
*屋外作品は冬季間(11月~4月)ご覧いただけません。
まつだい「農舞台」
無料エリアの作品
松代城(展望台)
城山(屋外)
無料エリアの作品
まつだい郷土資料館
D247
まつだい郷土資料館
"Matsudai History Museum"
築約140年のけやき造りの民家を利用した郷土資料館です。豪雪地帯特有の重厚な建物で、松代の暮らしに密着した民具や資料を展示しています。
D362
10のアルバム 迷宮
“10 Albums, Labyrinth”
イリヤ&エミリア・カバコフ
Ilya & Emilia Kabakov
この作品は、ソ連に住む10人の夢見る人々を主人公にした10の物語とドローイングで構成されています。自由な空で生活することを夢想する男、プライヴァシーのない劣悪な住環境の中でクローゼットに閉じこもって生活するうちに、外の広い世界を夢見ながら、やがて「消えてしまった」男などをめぐるファンタジーが展開されます。
D363
プロジェクト宮殿
“The Palace Projects”
イリヤ&エミリア・カバコフ
Ilya & Emilia Kabakov
《プロジェクト宮殿》は、ソ連の市井の人々(カバコフが作り出した架空の人物)の個人的な計画や夢を、人々の生きた証と捉えて保存するための宮殿として構想されています。最初に作られたバージョンは65のプロジェクトから成りますが、当館ではその中から選りすぐりの5つのプロジェクトを再制作し展示しています。
「天使に会いたい男が、途轍もなく高い梯子に昇って自らを危険な状況に置くことで天使に迎えに来てもらおうとする計画」、「性能の良いポンプで雲を地上に手繰り寄せ、給水屋乾燥地帯の加湿に使う計画」など、自分や人生をより豊かにするためのささやかな計画が収められています。
D364
アーティストの図書館
“The Artist’s Library”
イリヤ&エミリア・カバコフ
Ilya & Emilia Kabakov
カバコフの限定版のアーティストブックなどを鑑賞するためのライブラリーです。カバコフにとって、図書館や古文書館など、人々の人生や文化の営みを記録し保存する場所は、創作の重要なテーマであり続けてきました。
D380
自分をより良くする方法
“How To Make Onself Better”
イリヤ&エミリア・カバコフ
Ilya & Emilia Kabakov
プロジェクト宮殿のプロジェクトの1つを独立したインスタレーションに発展させた作品。
「自分をより良い道徳的な人間にするにはどうすればいいのか」という課題に対し、毎日ある手順を続けることが解決策の1つだと提案する。
D058
関係 — 黒板の教室
“Relation—Blackboard Classroom”
河口龍夫
Kawaguchi Tatsuo
冬季間雪に閉じ込められる越後妻有では、かつて遠方の学校へ通えないこどもたちのために冬季分校が多く存在した。現在では冬季分校は役目を終え、取り壊されたり、様々に用途を変更して利用されている。そんな学校のイメージを、作家はすべて黒板にしてしまうことで楽術空間とした。
D218
引き出しアート
“Art Drawers”
河口龍夫
Kawaguchi Tatsuo
黒板の教室の机の引き出しにはそれぞれアートがしまわれている。そっと引きだす作品には「見ること」と「見ないこと」、そして「封印」と「解放」の狭間にある世界が表現されている。
D055
カフェ・ルフレ
“Café Reflet”
ジャン=リュック・ヴィルムート
Jean-Luc Vilmouth
水色の店内の天井には旧松代町の住民が、自宅の窓から見える風景を撮った写真がプリントされている。テーブルの鏡が沢山の写真と実際の風景を美しく反射する。作家は大雪明けの晴天に越後妻有を視察しこの作品プランを作り出した。
D057
火の周り、砂漠の中
“Autour du Feu, Dans le Desert”
ファブリス・イベール
Fabrice Hybert
囲炉裏部屋として設計されたこの空間には、火を囲んで人が座れるベンチが設えられています。壁の裏側に取り付けた蛍光灯の光が表面に開けた直径1センチメートルほどの1001個の穴から漏れて室内を照らします。
d389
フィールドミュージアムのためのfurniture
"Furniture for the Field Museum"
ドットアーキテクツ
dot architects
受付や物販などで使用する「カウンターテーブル」はピロティに人が集い賑わう場所を提供。「sledding bench」はフィールドミュージアムに点在し、お客さまへの休憩場所を提供する。どちらも場にあわせて柔軟に使える設計。
D377
憧れの眺望
“Perspectives of Longing”
エステル・ストッカー
Esther Stocker
規則的な図柄を反復することで空間を変容させ、異次元に迷い込んだような視覚体験を生み出します。もともとの空間形状や凹凸に作品の層が重なり、空間に入り込んで視点が動いた時、空間の性質が露わになるのです。
D393
大地に抱かれるフィールドミュージアム
"Field Museum Embraced by the Earth"
田中央耕作群+田熊隆樹
Fieldoffice Architects + Taguma Ryuki
城山エリアの各所を少しずつ改善していく計画。作品巡りをする足どりを軽くするのは、自然を身体で感じながら休めるような空白の場所。そんな構想のもと、ゆったりとした時間の流れる空間を長期的に目指していく。2024年は最初の行動として、農舞台やほくほく線が見渡せる斜面を活かした「大地に抱かれる椅子」が実現された。
D402
視界/覗き灯篭
"Sight/Telescope by Lantern"
前山忠
Maeyama Tadashi
視界を切り取る仕掛けとして「フレーム」を設置し、新たな視覚体験をもたらす作品をてがけてきた作家による2作品。何の変哲もない石柱に丸と四角の穴が空けられた「覗き灯篭」では、覗くと望遠鏡のように遠くの風景が目前に迫って来る仕掛けが楽しめる。
D392
まつだい郷土しりょう館
"Matsudai History Museum - Shiryo-Kan"
尾花賢一
Obana Kenichi
人々の営みや伝承、土地の風景や歴史を題材に発表を続ける作家による、郷土資料館での展示。テーマとなるのは「しりょう」という言葉と、資料館の歩みだ。ドローイングや立体作品といった館内展示を通じ、「資料」という言葉そのもの意味や役割、価値について考察。そして「史料」「飼料」「試料」「死霊」……同音異議の言葉へ展開しながら「館内の展示品や施設に異なる視点と気づきを発生させ、場所に潜む固有の物語を炙り出していく」(作家コメント)。
D378
楽聚第
“Laxudai”
豊福亮
Toyofuku Ryo
快楽と歓喜の集まりを意味する「聚楽」をもじって名づけられた作品は、築50年の擬城の中に突如現れる異空間です。怪しく光る金銀箔の茶室と微細に描かれた品々が作り出す異常な豪華さが、日常の世界観を吹き飛ばします。
D379
脱皮する時
“Shedding Time”
鞍掛純一+日本大学芸術学部彫刻コース有志
KURAKAKE Junichi + Nihon University College of Art Sculpture Course
空を見上げ、虫の声、鳥のさえずりを聞きながら、時間をかけて辿り着いた3階は、4方に開けた窓から旧松代の町や山々を眺望できる清々しい場所。時を刻むように刻まれた彫刻刀の痕が、遠い場所、長い歴史に思いを誘います。
D365
手をたずさえる塔
“The Monument to Tolerance”
イリヤ&エミリア・カバコフ
Ilya & Emilia Kabakov
手をたずさえることは、世界で最も重要であるのにないがしろにされているものの1つであるとカバコフは言います。巨大なモニュメント手をたずさえる塔は夜になると、世界の人々の感情にあわせて様々に変化する光を放ちます。
《手をたずさえる塔》の台座に設けられる展示室に、《手をたずさえる船》の模型が設置されます。
D366
手をたずさえる船(模型)
“The Ship of Tolerance”
イリヤ&エミリア・カバコフ
Ilya & Emilia Kabakov
《手をたずさえる船》は、2005年に始まったプロジェクトで、これまでエジプト、イタリア、スイス、アラブ首長国連邦、キューバ、アメリカ、ロシアなどで実施されました。カバコフがデザインした船の上で、世界中の子供たちの絵をモザイクのように組み合わせて帆を作り、創作や交流を通じて子供が多様な文化や思想の尊重を学ぶことを目的としています。
《手をたずさえる塔》の台座に設けられる展示室に、《手をたずさえる船》の模型が設置されます。
D312
人生のアーチ
“The Arch of Life”
イリヤ&エミリア・カバコフ
Ilya & Emilia Kabakov
その橋の上には、卵の形をした人間の頭に始まり、四つん這いの「少年の像」や実際に光を放つ「光の箱を背負う男」、さらには「壁を登ろうとしている男。あるいは永遠の亡命」、そして「終末、疲れた男」が並ぶ。人生のそれぞれの段階を視覚化している。
D359
廻転する不在
“Rotating Absence”
東弘一郎
Azuma Koichiro
作家は地域でいらなくなった自転車を収集し、誰がどんなふうに使っていたのかなどのストーリーを集めます。日常に密着した道具は、主人を失いながらも作品として新しい命を吹き込まれ動き出します。
D053
まつだい雪国農耕文化村センター「農舞台」
“NOHBUTAI Snow-Land Agrarian Culture Center, Matsudai”
設計=MVRDV
MVRDV
建物を宙に浮かせることで、建物下のエリアを、冬は雪がかからないゾーンに、夏は涼しい日陰の広場とすることができる。
D002
砦 61
“Fort 61”
クリスチャン・ラピ
Christian Lapie
山の中腹の棚田に黒い木が、まるで集落か群像のようにそそり立つ。
木の周りにひとつの世界をつくり、漆黒の像は、人の生死や歴史を内包して黙々と立つ。
D003
○△□の塔と赤とんぼ
“The○△□Tower and the Red Dragonfly”
田中信太郎
Tanaka Shintaro
高さ14mでの赤トンボは青空を背景に羽ばたくランドマーク。(北川ディレクターのお気に入り作品!)
D004
水のプール
“Pool of Water”
立木泉
Tachiki Izumi
棚田の跡地に設置された水琴窟。水盤から滴り落ちる水滴が微かな音色を奏でる。棚田存続に不可欠な要素である水を意識した作品。
D005
関係 — 大地・北斗七星
“Relation-Earth / the Big Dipper”
河口龍夫
Kawaguchi Tatsuo
大地に置かれた鉄板には、北斗七星の形に空けた7つの穴。
千年後に位置の変わった北斗七星の作品をもう一つ作る計画もある。
D006
かかしプロジェクト
“Scarecrow Project”
大岩オスカール
Oscar Oiwa
両手を広げていたり、赤ちゃんを抱いていたりと、制作時のこの棚田の持ち主の家族をかたどった。モデルとなった赤ちゃんは、すっかり大きくなっているだろうか?
D007
夏の三日月
“Crescent”
伊藤誠
Ito Makoto
三日月型の切り込みがあり、弦の部分に沿って歩くことができるコンクリートの作品。林の中に白い塊がぽっかりと浮かび上がる様子は、未来の遺跡のようだ。
D008
希望という種子(シュジ)
“Seed of Hope”
依田久仁夫
Yoda Kunio
宮沢賢治の詩『祭日』を刻んだ4本の碑がたたずむ坂道を抜けると、木立に囲まれた4 つの空間が現れる。『雨ニモマケズ』『屈折率』『月天子』『高原』を刻んだ陶板が埋め込まれている。
D010
観測所
“Observatory”
牛島達治
Ushijima Tatsuji
上下に伸びた伝音管は、片耳に田んぼの音、もう片耳に空の音を伝える。
D011
平和の庭
“Peace Garden”
マダン・ラル
Madan Lal
インドのやわらかい大理石でつくられた蓮の花である。インド人の作家にとって蓮はヒンズー教の神、ブラフマンの象徴であるようだ。
D012
遊歩道整備計画
“Walk Way”
CLIP
CLIP
点在するアートを結ぶ遊歩道は既設の山道や農道、あぜ道を利用し、環境に配慮して地表の生態を守る設計になっている。
D013
あたかも時を光合成するように降りてきた ~レッドデーターの植物より
“They came down as if they were photosynthesizing time. -Three vulnerable kinds of Red Data plants.”
小林重予
Kobayashi Shigeyo
雪を連想させる白いタイルの彫刻は、新潟県で絶滅する恐れのある植物「タコノアシ」「ノウルシ」「スズサイコ」をモチーフにしている。
D014
雪国の杉の下で
“Under a Cedar in Snow Country”
橋本真之
Hashimoto Masayuki
雪の重みでたわんだ木々の姿に触発された作品。銅の彫刻は樹木を支えるように、または樹木に寄り添うようにして立っています。木々に囲まれ、森と一体となった新しい空間を形成します。
D015
西洋料理店 山猫軒
“Restaurant Gives Orders”
白井美穂
Shirai Mio
宮沢賢治の『注文の多い料理店』を具現化した色鮮やかな8枚の扉が空間を区切っています。客に対する注文の言葉がつづられた扉をくぐると、物語の世界に迷い込んだような気分を味わえます。
D016
木
“Trees”
メナシェ・カディシュマン
Menashe Kadishman
金属をあたかも紙のように扱い、一本の木の形がくり抜かれた銅板を地面に立てて設置した作品。くり抜かれた空間から周囲の景色を切り取ってみせながら、自然の豊かさを示しています。
D054
まつだい住民博物館
“Museum of the Constellation Families of Matsudai”
ジョセップ・マリア・マルティン
Josep Maria Martin
通路に並ぶ約1,500本のカラーバーは旧松代町の各家庭が色を選んだもので、そのそれぞれには屋号が書かれている。また映像では住民が実際に人情あふれる演技で客を招き入れる。
D060
かまぼこアートセンター
“Kamaboko-type Storehouse Project”
小沢剛
Ozawa Tsuyoshi
この地域特有のかまぼこ型の倉庫に作家が興味を持ったことから制作された。制作年には旧松代町内に点在する全てのかまぼこ型倉庫をリサーチし、写真にコメントを添えて、展示した。
D061
花咲ける妻有
“Tsumari in Bloom”
草間彌生
Kusama Yayoi
「越後妻有は気高い土地、またどんな作品でも大手を広げて自由に包み込んでくれる寛容の土地」と感じた作者が作った巨大な花。
D063
旅人の迷路
“Maze for Tourists”
歳森勲
Toshimori Isao
この迷路の形状は、古代ヨーロッパに多く見られ海辺で航海の安全を祈願するために、儀式として使われたとされ、「旅人の迷路」と呼ばれている。縁石に沿って迷路を散策し自然の恵みを手にしよう。
D064
記憶 ̶ 再生
“Memory - Regeneration”
井上廣子
Inoue Hiroko
正楕円形(13×10メートル)の中には、玉石がなだらかな曲線で積み上げられ、玉石の一部には、この土地で暮らす人々の一番大切な人の名前が銘記され埋め込まれている。
D066
米の家
“Rice House”
チャン・ユンホ(張永和)+非常建築
Chang Yung Ho+Atelier FCJZ
田んぼの中で休憩し景色を愛でる場所を提供するための作品。遠くから見ると絵画のフレームとなり、近づくと2つの椅子が備えられたパヴィリオンになる。
D067
融(とおる)
“Toru”
柳澤紀子
Yanagisawa Noriko
作家はこの場所に立った時とっさに天空から静かに舞い降りてきた円盤のようなものを置いてみたいと思った。タイトルの「融」は人々の待ちのぞむ春の雪融けのイメージ。
D068
フィヒテ(唐檜)
“Fichte”
トビアス・レーベルガー
Tobias Rehberger
森の中にぽつんとある本棚とベンチからなる図書館には作者の故郷ドイツの本が並んでいる。「深い森」に例えられることがあるドイツの思想・文学を森の図書館として表現した。
D070
まつだいスモールタワー
“Matsudai Small Tower”
ペリフェリック
Périphériques
鉄パイプとエキスパンドメタルによるこの小さな塔は入口となる地面から屋上までの4階建てとなっており、町の中心部とその後ろの山が見渡すことができる。
D125
地震計
“Seismograph”
オノレ・ドゥオー
Honoré d'O
陽の光にきらめく硝子が宙に浮かぶ、雪をイメージした玉と巨大な釣竿。吊られて揺れる球体が海や川、水の循環、バランスを感じさせる。
D155
ゲロンパ大合唱
“A great chorus of 「Get Up!」”
大西治・大西雅子
Ohnishi Osamu/Ohnishi Masako
草刈りは農業には欠かせない大切な仕事だけれど大変な重労働です。「ゲロンパ」はパカっと大きな口を開け、刈り終えた草をもぐもぐとお腹に飲み込んで堆肥を生み出す堆肥製造マシーン。大変な作業を楽しくします。
D184
リバース・シティー
“Reverse City”
パスカル・マルティン・タイユー
Pascale Marthine Tayou
太い柱に吊るされた大きな鉛筆の群れ。一本一本には世界の国々の名前が書かれている。
D186
スペース・スリター・オーケストラ
“Space Slitar Orchestra”
チャールズ・ビラード
Charles-Eric Billard
ライドギターとシタールに想を得たスリターという自作弦楽器を森の中に3つ設置。鑑賞者は自由に演奏でき、合奏も楽しめる。
D248
イエローフラワー
“THE YELLOW FLOWER”
ジョゼ・デ・ギマランイス
José de Guimarães
花をイメージした柔らかい曲線の案内板は、フィールドミュージアムである松代城山に点在する作品群や自然観察や見晴らしポイントも紹介。
D311
円 - 縁 - 演
“Circle - Connection - Performancet”
松田重仁
Matsuda Shigehito
2003年に大地の芸術祭が開催された6つの地域の職人によってトーテムポールとベンチが制作された。12年後に埋めてあったタイムカプセルを開封し中心に「希望の実」が設置された。
D351
Camera Obscura Project
“Camera Obscura Project”
浅田創
Asada Tsukuru
写真家である作家が、カメラのなかで起きていることを体験するために制作した作品。作品内部に映し出される天地が反転した風景から、原初の写真が持っていた不思議な感覚がよみがえる。
D353
hi 8 way
“hi 8 way”
ジョン・クルメリング
John Körmeling
高さ4mの展望台は2つの螺旋階段がねじれるように組み合わされ構造を持つ。その形は、無限を意味する記号「∞」を表現したもの。