5月に入り、太陽の暖かさを感じられる気持ちのよい日が多くなってきました。

3月から大事に育ててきた苗達も安定した気候によりすくすくと育っています。

現在は長さで10cm程、3枚目の葉っぱが伸びてきています。

人間でいうと子供ぐらいの成長段階です。

暖かい日が続いた為例年の苗に比べると苗の葉色(葉の緑の濃さ)が濃い元気な苗が育っています。

さて、3月から育苗についてご紹介してきた苗シリーズも今回が最終回になります。

毎年やってきた苗の作業も、皆様に紹介しながら見返していくと苗の特徴やその年の気候によって変わる育ち方など今まで見落としていた部分に気が付くことができました。

観察するという事はとっても大事な事ですね。

それでは前回の浸種からの続きを見ていきましょう。

こちらは「催芽」が終わった籾の様子です。

赤丸が付いている籾の先から白いツノのような物が出ているのが分かりますでしょうか?

こちらが種籾から出てきた芽になります。この芽は機械で種撒きする際に折れてしまうと籾がダメになってしまいます。その為伸ばしすぎないように温水に浸ける時間を調節します。

この丁度よく芽が出た状態を「ハト胸」と言います。ハト胸になった籾はそのままにしておくと芽が伸びてしまうので一度冷水に浸した後、乾かして芽の成長を一時的に止めてあげます。

籾の準備が整うといよいよ種撒きが始まります。

まつだい棚田バンクでは二種類の品種を作付けしています。

おなじみのコシヒカリともち米のこがねもちを作付けするのですが、全部で1460枚の苗を起こしました。

こちらの「播種機」という機械で土を苗箱に詰め、そこに種籾を均等に撒いていきます。

写真のように種を撒いた上からまた土をかけ水を撒きます。ここまでの行程を一度に行える機械がこの播種機です。この播種機は農業において本当に革命的な機械だったんだろうなと毎年この作業をしていると考えさせられます。1460枚という枚数でも約3日もあれば終わらせる事が出来ます。これを手で撒いていたら、、、、、ぞっとしますね。笑

播種が終わると芽出しという行程に移ります。

今年は知り合いの農家さんが大きい育苗機を紹介して下さり、こちらの芽出し作業がとてもスムーズに行えました。地域の農家さんからもいつも助けて頂いてます。

こちらが「育苗機」という機械です。

シートの中を30℃に設定し蒸気を発生させてサウナ状態を作ります。その中に種を撒いた苗箱を積み上げ約2日間芽を成長させます。

育苗機から出てきた苗はこんな感じになります。

FC越後妻有の新人上村選手も慣れない作業ですが、一生懸命苗箱を運んでいました。

山下選手はベテラン感がでてきましたね。笑

こうして外の苗代に運び出された苗達ですがまだ人間でいう赤ちゃんです。

強い日差しや寒さに弱い為、シートをかけて遮光・保温をしてあげます。

シートをかけた状態で芽を育て緑色にする「緑化」という行程に移ります。

緑化が完了すると、、、、

可愛らしい小さな葉っぱが出てきました。

まだ安心は出来ず、この後も外気温や日差しの強さによってシートをかけてあげたり剥がしたり、プールに水を張って保水をしてあげたりと田植まで管理は続きます。

そんな中、田んぼでも耕運・代掻きと作業が進んでいます。

現在の星峠の様子です。

新緑がきれいですね。田植えまで水が無くならないように、田んぼには水が張ってあります。

こちらは農舞台の様子です。

農舞台の周りも初夏を感じさせる景色に変わりつつあります。

春の行程ってどのくらいあるの?と聞かれる事が多かったので、まずは苗の作業にスポットをあてて紹介をしてきました。来シーズンは田んぼ編をやってみようかと筆者はひそかに考えております。笑

苗の作業だけでも沢山の行程があり、苗を管理しながら田んぼでも作業を行う「春」が米作りの一番大変な時期であり、やりがいのある期間だと感じます。

機械がある現代でも大変な作業、昔はもっと大変だったはず。

それでも辞めず、現代まで引き継がれてきた米作りは生き抜く術であり、やりがいであり、そして楽しみであったのだろうと考えます。

農業と文化についても今後紹介していきたいと思います。

5月はまつだい棚田バンクの田植えイベントが開催されます!

ゆったりと景色を眺め、気持ちのいい風を感じながら田植えをしませんか?

今年は交流会も開催されます!皆様のご参加、心よりお待ちしております。

(2023/5/9 まつだい棚田バンク)