2023年の冬は例年3m以上降り積もる豪雪地帯にしては若干少ない積雪でした。

例年は12月中頃から本格的に冬を迎え5月まで雪に覆われているのですが、4月4日の今日現在で1カ月ほど早い春を迎えています。

今日はカバコフの棚田周辺の杉を伐採したので、その報告です。

木を切り倒したところ
よく見ると根っこが曲がっていますが、これは根曲がり杉と言って、雪によって根が曲がった物。強度があり昔は家の重要な骨組みに使われた。
作業前
作業後に杉の木の一部を地主に届けるところ
棚田に向かうユンボ
棚田から農舞台に向かって撮った写真

冬でも青々と葉を茂らせる杉の林が越後妻有の風景の一つになる前は、このあたりの林はブナなどの広葉樹が大半を占めていたのだそうですが、城山では今からおよそ70年前に杉が植林されました。

当時は高度成長期で木材が不足していたため、建材として販売する目的で植林されました。しかし、植えられた杉が育っている間に輸入材が入ってきて、国産の木材は売れない状況になってしまいました。そのため立派になった杉は切られることもなく、今も成長を続けています。

生活スタイルが変わり、木材の薪の利用も少なくなり(近年は薪ストーブが増えてきていますが)、林は放置されがちな場所となっています。

カバコフの棚田が設置されたころの写真と比べてみると、20年たった今、林が棚田のほうにもりもりと進出してきていることがわかります。これでは日陰も多くなり田んぼの稲にも良くない、ということで杉林11本を間伐する事になりました。

作業は残雪の3月に行われます。

雪を緩衝材とし、スムーズに運搬するためこの時期が良いとされてます。

今回は杉が20m程度の大きさだったので、棚田の大きさに比べるとかなり大きなユンボが棚田の中腹へ向かっていきました。樹木を運搬するためです。雪を利用して足場を作り進んでいきます。

次に、職人がチェンソーで刃を入れると、メキメキっと音を立てて、ちょうど雪の上に杉の木が倒れていきます。川の向こう側でも聞こえる大きな音量です。

およそ2日間、11本の杉を切り、作業は一段落。

カバコフの棚田は北向きでもともと日当たりが悪いですが、トノサマガエルやアカガエル、サンショウウオ、きれいな水でしか育たないワサビなど他ではあまり見かけない生き物たちがいます。今回の仕事は林全体からしたらほんの一部ですが、少しだけ日当たりのよくなったカバコフの棚田に今後、どんな変化が現れるのか注意深く観察していきたいと思います。

(2023/4/9)