<目次>

1.9月:いよいよ稲刈りが始まりますが、、、、イノシシとの戦い

2.お米の豆知識

3. 「大地の運動会」イベントレポート

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1.9月:いよいよ稲刈りが始まりますが、、、、イノシシとの戦い

世間では令和の米騒動で騒がれていますが、松代では稲刈りが始まっています!5月上旬に田植えを終わらせた農家さんはすでに稲刈りモードに切り替わっています。まつだい棚田バンクでの田植えは水不足の影響で遅れたため、圃場によっては写真のような緑色のキレイな穂の状態の圃場もあります。これから少しずつ黄金色に色づいていくことでしょう。

田んぼによっては稲刈りを待つばかりの田んぼも。

まつだい棚田バンクの稲刈りも今月12日頃から開始します。

稲刈りが始まるまでの間、コンバインの整備や、田んぼにたまった水を排水するための溝切り、畦の草刈りなど、様々な管理作業を行ってきました。

今年特に時間がかかっているのが、「獣害対策」。

昨年の少雪の影響でイノシシが増え、田んぼや畑に下りてくる数が多くなっています。

すでに入られてしまった田んぼがこちら。

稲が踏み荒らされてしまっています、、、、

イノシシも必死に生きているので共存していかなければならないのは心得ていますが、春の種撒きから田植え、毎日水まわりをして、最後に踏まれて終わってしまうのは非常に悔しいです。涙

こうなってしまった田んぼの稲は「刈り分け」をします。荒らされていない部分のみ刈って、荒らされてしまった部分はお米に獣の臭いがついてしまうため、刈ることができません。この部分を刈り分けるのです。

別角度からはこんな感じです。

ただ、指をくわえて田んぼを荒らされるのを見ている訳にはいきません。

そんな時に活躍する道具がこちら!

「電気柵ぅ~~~!」  (テッテレー!)

以上某Dエモン風でした。

設置するとこんな感じになります。

こちらは電気を発生する本体で、

写真のように2段の電線で田んぼをぐるりと一周囲います。

イノシシは臆病ですが頭がよく、普通の紐では潜ったり飛び越えたりして田んぼの中に入ってしまいます。

この電線の高さには意味があります。

イノシシは厚い毛皮に覆われています。体が電線にあたってもあまり効果がなく、体当たりして電気柵を倒してしまいます。ただイノシシは警戒すると鼻で物の様子を確かめる習性があります。鼻はイノシシにとって弱点。この鼻の高さに合わせて電線を設置します。

その結果、鼻で電線に触れ、危険だと感じたイノシシはその田んぼを警戒して進入しなくなるのです。

ちなみにこちらの柵はあくまでもイノシシから田んぼを防御するための柵です。

人間が触れると電線に触れた部分をなにかで思いっきり叩かれたような強い衝撃があります。

特殊な訓練を受けた僕達なので当たっても平気ですが、絶対に触れないでください。笑

特殊な訓練は冗談ですが、設置するにあたってイノシシの習性や電気柵の構造、電気の性質をしっかりと勉強しています。

里山の動物達とも共存できる様に様々な知恵を絞ったり、地元の農家さんに教えてもらったりして日々農業をしています。

この時期の軽トラックは色んな道具で溢れかえっています。

草刈り機や燃料、電気柵の道具、工具、タンク、スコップやらなんやら。なんでも揃っています。笑

日々様々な戦いはありますが、今年も無事に収穫を迎えられそうです。春の時点では水不足で本当にヒヤヒヤしましたが、こうして稲の姿が見られて一安心。

9月20日頃からメインの刈り取りが始まりますが、皆様に美味しい新米をお届けできるように丁寧に稲刈りをしていきます!まつだいで収穫した新米を是非ご賞味ください。

今年のお米の品質はよさそうですよ~!

石塚

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2.お米の豆知識

今回の食コラム担当は石塚です!

米の検査員をやったりとお米の知識をかじっていますので少しだけ豆知識を。

皆さんがよく耳にすると思われるのが「等級」「品質」「食味」。

また昨年の干ばつ被害で「等級」「品質」というワードを様々なメディアで目にしました。

米の等級ですが一般的に食べられている飯米(うるち米)では、「1等、2等、3等、規格外」と4つに区分しています。

基準にしているのはお米の見た目です。

手持ちの写真がなく写真のお米はもち米です。すみません!

この黒いお皿はカルトンと呼ばれています。キレイで張りがある粒、透き通った飴色であるお米を「整粒」といいます。この「整粒」以外のお米は等級を下げる「着色粒」「乳白粒」「未熟粒」という区分に分類されます。おおざっぱに説明しましたが格下げ理由は更に細かく分類されます。

こちらのカルトンに米を隙間なく広げた時に「整粒」の比率が70%以上で1等。

70%未満60%以上で2等。60%未満45%以上で3等。45%未満で規格外と格付けされます。他にも着色粒が0.1%以内で一等、籾が混入していないなど様々な格付け理由がありますが、基本的にはお米の見た目でこの等級がきまります。この等級を見た目で判断して格付けする人が「検査員」と呼ばれる人達です。また検査員になる為には研修や試験を受けて資格を取得します。お米の鑑定力をキープするために定期的に行われる米の鑑定会にも参加しなければなりません。

昨年はこちらの等級が3等ばかりという苦しい年でした。

ただこちらの等級が低いからといって味に関わってくる「食味」が悪いというわけではありません。なので農家さんたちは「味は例年通り間違いない」と言ってました。決して苦し紛れの言い訳ではないんです!

ただ等級が下がるとお米を精米したときの歩留まりに影響が出ます。30kgのお米を精米すると1等で約27kgです。ただ、3等だと約25kg。またお米が割れやすいので少し粒形が崩れます。こういう理由からお米を流通させるためには等級というものが大事になってきます。

コシヒカリの玄米はこのようにキレイな飴色をしています。緑色の粒は「青未熟」と呼ばれる成熟しきっていない粒です。

ただこの未熟粒はお米の風味にはすごく大事で、全く含まれていないのもあまりよろしくありません。なので僕がお米を選別する時は、少しこの青い米が入るように選別を調整しています。

こちらは去年のお米です。白い透明なお米の中に乳白色のお米が多く混じっています。こちらがいわゆる「高温障害」をうけたお米です。お米の中に空気の層が出来ることによってお米が乳白色にみえます。隣にある1粒がカメムシによる「着色粒」と呼ばれる粒です。

お米を炊く前や精米する時に「今年はこういうお米なんだな」と感じながら炊飯するとお米の見え方や召し上がり方が違ってくると思います。品種によっても粒の大きさや、お米の形が違うので是非注目してみて下さい♪

ここで新米を美味しく召し上がっていただく上で何点かアドバイス。

1、新米は水分量が多いため水は規定量の線より2mmぐらい少な目に。硬めがお好みの場合はもっと少なくても大丈夫です。

2、ミネラルウォーターを使用していただくとよりお米の風味を感じられます。

3、炊飯時のお水は冷たい物を使って下さい。粒がベトつかず、米立ちがよくなります。氷を水の分量を調整して入れて炊くといいです。

4、精米したら早めに召し上がるのがGOOD!残った糠が酸化するためお米に臭いがつきます。

5、冷蔵庫で保存すると美味しい状態をキープできます。湿度や温度がお米の保存にはピッタリ。臭いも付きづらくなります。

逆にNGな保存方法。

1、出来るだけ臭いが発生する場所から遠ざける。お香などを焚くとお香味のお米になります、、、(筆者が経験あり)

2、湿度や温度が低い場所での保管が最適です。虫やカビの発生を防げます。

お米は水分や臭いを吸いやすい特徴があります。できるだけこれらの発生元から遠ざけての保存が美味しい状態でキープするコツです。

古米臭が強いお米は、念入りに洗ってあげたり炭を一緒に焚くことによって臭いを軽減することもできます。

あと少しで食欲の秋と一緒にやってくる美味しい新米!

まつだい棚田バンクのお米も是非美味しく召し上がって下さい。

石塚

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3. 「大地の運動会」イベントレポート

9月7日(土)に奴奈川キャンパスにて「大地の運動会」が開催されました!

天候にも恵まれ、世界各国(24カ国)から約500名の参加者がこの運動会のために集まりました。

この「大地の運動会」は、スポーツ、アート、音楽、食といった大地の芸術祭ならではの五感全開のユニークな運動会です。子供からおじいちゃんおばあちゃん、そして海外の方や障害を持った方など様々な異なるバックグラウンドを持つ人々が一緒に体を動かし、おいしいお昼ご飯を食べ、音楽に合わせて楽器を演奏したり踊ったり、楽しく過ごすうちに打ち解け合い、最後にはみんなが「笑顔」そして「元気」になっていくような運動会になりました!

この運動会の実行委員長は400mハードル日本記録保持者である為末大さんが務め、参加アーティストとして岡淳さんや豊福亮さん、前山忠さんにご協力いただきました。

運動会は赤組(ウサギ、ニワトリ、キツネチーム)と白組(ネコ、イタチ、コオイムシチーム)に分かれて競い合いました。

種目や道具にも「ここならでは」が沢山詰まっており、『おにぎりコロコロ』(巨大なおにぎりを転がしゴールを目指す)や玉入れに『おにぎりボール』が混ざっていたり、入場門や優勝トロフィーにも『おにぎり』が用いられていました。

また、岡淳さん率いる越後妻有かぷかぷ楽団の楽器の土台には昔ながらの民具や農具が使用されていたりと越後妻有らしい様式でした。

短い時間の中でしたが種目を通してチームとして団結し、応援する姿が印象的で、一生懸命競技した選手をみんなで称える場面が沢山ありました。

そして、出身などに関わらず様々な人々と交流する姿、言葉が通じなくともダンスやジェスチャーで打ち解け、仲良くなっていく姿を沢山見る事ができ、この運動会の目的に沿うような運動会になったのではないかと思います!

今後を期待するような嬉しいお言葉もいただきましたので、この運動会が大地の芸術祭の中の一つの大きなイベントとして地域に根付いていけるよう、今後も頑張りたいと思います!

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今月もブログをご覧いただきありがとうございました。

(2024.9.10 まつだい棚田バンク事務局)