2023年も下半期に差し掛かり、松代地域では蒸し暑い天気が続いています。
まつだい農舞台フィールドミュージアムの田んぼには、成長途中の尻尾と足が生えているカエルが沢山います。
今回は地域の生き物博士こと松山金一さんに夏の生き物についてインタビューしてきました!
まつだい農舞台フィールドミュージアムは手をかけられた里山の特徴として生き物が沢山住んでおり、夏にはカブトムシやクワガタなどの生き物も見られます。
カブトムシやクワガタが見られるのは主に城山近辺のドングリやコナラなどの樹液が出る木で、カミキリムシなどの虫も見られます。
サイズは小さいかもしれませんが、運が良ければ見つけられるかも!
農舞台にお越しの際はぜひ城山付近の木を探してみてください!
そして、夏の里山といえばホタルです。
また、松代地域では雪解け水が豊富な為、綺麗な川が流れている場所が多く、夜になるとチカチカと光る蛍が現れる場所もいくつかあります。
金一さんは毎年決まった田んぼに現れる蛍の個体数を調査しており、それらの調査表を環境省に提出しています。今年も田んぼの入り口・中央・奥の3か所に分けて1か所につき20匹ぐらいの蛍を確認したそうです。
調査している蛍の種類もいくつかあり、今回はゲンジボタルとヘイケボタルの特徴について教えてくれました。
まず、ゲンジボタルは大きさが約12~13㎝程あり、光る間隔が長く発光量も強いという特徴があります。日が沈んだ20時頃から出現し、カワニナという細い貝しか食べない為、その貝がある小さい川などに出現します。
因みに、ゲンジボタル幼虫から成虫にかけて1個体あたり100~150個のカワニナが必要だと考えられているそうです。意外と多くて、10㎝弱の体になる為には、沢山食べないといけないみたいです!
それに対して、ヘイケボタルの大きさは7cm程度でゲンジボタルの半分ほどしかありません。また、光り方もチカチカと短く発光量も弱い、ゲンジボタルと時間を少しずらして出現します。
そして、カワニナしか食べないゲンジボタルに対して、ヘイケボタルはオタマジャクシなどなんでも食べるので、個体数や出現エリアも多いという結果がでます。
しかし、大きさや光る時間が源氏蛍より目立たない為、調査はやりにくいそうです。
名前の由来は諸説あるそうで、定説はないそうですが、金一さんは「源氏物語」からゲンジボタルという名前がつけられ、それに比べて小さく発光量も弱い蛍に対して、「源平合戦」で負けた平家の名前を取り、ゲンジボタルとなったという説が有力ではないかと教えてくださいました。
蛍の出てきやすい条件としては、綺麗な水が流れる川や田んぼがある事と、人工物の光がない所、そして湿度が高く、曇った風のない日がチャンスです!
逆に、雨風が強い日や冷え込む日にはあまり飛ばないので、蛍観察の際は天候を選んで行う事をオススメします!
城山付近以外にも、星峠の棚田などにも蛍がいるようなので、夏の松代地域では夜のお散歩も楽しんでいただけると思います。
最後に、蛍も年々個体数が減少傾向にあると金一さんは仰っていました。
耕作放棄地が増え、蛍の移住環境が整わなくなっている事が理由です。耕作放棄地が増えることは植物や生き物にとってもマイナスだという事を年々感じています。
私たち、まつだい棚田バンクは耕作放棄地を増やさない為にも、今年度は10haというできるだけ多くの田んぼの維持管理を引き受け耕作しております。
皆様にも平素より大変お世話になっておりますが、この活動を続けていく為にも、より多く方々に棚田バンクを知っていただく必要があります。
今後ともご周知のほどよろしくお願いいたします!
※蛍の写真は地元の相澤雄二さんよりご提供いただきました。
(2023/7/10 まつだい棚田バンク)